電車に乗っていた

ダル重でも用あるから行く

最寄り駅員のくたびれた制服に

同情と情けさな感じて

 

まさに平日昼めいた人の利用

気づいたらもう次の駅で

ピーカンで晴れているし

電車の窓がスクリーンになる

映り込む生徒は

開いたドアから

春前の強い風と共に乗り込む

 

海がすぐそこだから

ここの橋はとびきりイカつい

人間様様みたいでうるさい

けれど河は青緑だもんで

空となんかしらの生物含んで

大海原へながれてゆく

あたしもここへ入ったら

いつかどこか知らない国の

岸にでもたどり着くんだろうか

その前になんかに喰われたり

腐ってボロボロになるのかな

そんなの夫は悲しむやろな

 

しにたいわけではなかったけれど

そんなことを考えて

あたしは電車に乗っていた

眠れなかった

眠れなかった

だけど夢は見た

背中があつくて逃げていたら

友人が一人死んでしまった

わたしは海を見つけて飛び込んだ

たくさんイルカが集まってきた

きれいな女性が泳いでやってきて

なぜあんたみたいな人間がここにいるの?

そう言われたからまた逃げた

夢なんて興味ないけれど

熟睡できてないから身体はしんどい

這い上がってカーテンを開けたら

霰が黄砂みたく激しく舞っていた

怒りの踊りみたいだった

そして地面へ降り注ぐだけでなく

人間よりもっと高い目線の場所でも

霰は舞っていた

東の空の雲が

日を軽く食おうとした時

それはつよく光出した

つよいけれど優しい光だった

与えられている

わたしたちは与えられていることを

忘れているのか知らないのか

神様みたいな命が

この身体の中に

もしかしたら在るのかもしれないな

春来てね

部屋の空気口から

ピューピューザラザラ嵐の音

18:00過ぎのコーヒーを飲もう

眠れないのは元からだから

気にしない 気にしない

カフェインとベンゾでちゃんぽん

矛盾 相反 社会人とわたし

物質と精神は松果体でつうじているが

わたしの身体の中の

何かと何かが綱引き中で

はち切れることはなさそうだけれど

胸が苦しいもんで、そろそろおよしなさいよ!

コーヒーを見ていたら

プクプク黒茶の液が舞い上がって

チョコペンで描いたみたいなネコが

天井に引っ付いた

その周りにはツタなのか草花模様

蛇イチゴもある

ああ 春はもうすぐ来るのだろうが

あの散歩道のオドリコソウ達は

まだ霜被って生きている

きのう

new lagoon airportへ向かう

まさしく飛行機の格好した飛行機が

薄曇りの中を一直線で駆け抜けてゆく

何か糸に引っ張られてるみたいに

 

空を見上げてしまったら

幸せな気持ちと同時に寂しく

死んだおまえを思い出すのよ

一年前の知らせが昨日のことのようで

これだけは一生変わらないことだよ

 

駅の広告の

どっかの私立校の

夢へ向かってのキャッチコピーが

堂々と潔く嘘くさいわ

16だったあたしは背伸びしてた

学校に居場所は無かったけれど

昔は運び屋とかほざてた、20くらいの人もダサいと思って二度と合わなかった

青い鳥を追いかけていた

 

今のあたしを追い抜いてった黒尽くめが

スーパーのトイレみたいな芳香剤の匂い

悪口とかじゃなく

ものすごい今じぶんの世界にいたから

呼び戻された 現実に そんな気がした

 

待ち人たちはみんな下向いててダサいから

上を見上げて胸張ってみたけど

あたしのこのかっこつけは何様なのだろう

具合悪い

読みたい本まくら元

このiPhoneで打つひとまずの言葉

具合悪い言うてるなら

寝てろというもう一人のワイ

寝過ぎても頭重いから

開けてる目に入るエアコンの風

食いたいもんは塩っぱいやつ

でも量はいらなくて

味だけ欲しい

なら、塩なめとけ言うてる

再びもう一人のワイ

大人んなっても辛いのよね

具合悪いのは辛いのよね

はやく良くなるといいね

優しい誰かの声が欲しい

体調不良がスタンダードなんて

あまりにもかわいそうじゃない

あたしも少しは

日の当たる土手を歩きたいのさ

3歳に戻った

身体中がどこもかしこも痛くて

爆発して

涙のしょっぱさが私の肌をカサカサに

赤いポツポツを作りやがった

気づいたら母に電話していた

久しぶりに聞いた声は思ったより優しく

とにかく聞いてくれるもんだから

同じ話を4、5回はした

冬だから身体の調子も悪くなるよって言われたけど

そういう原因追求はどうでもいいし

わたしは今の季節もこの町も好きだからって

何か強がったようなことを言い返した

飼ってた死んだ犬に会いたくて

アイツ🐶に会いたいと泣き叫んだら

私も毎日そう思うと言った

母の悲しみの方がよっぽど重くて

その悲しみを思って余計涙が止まらなかった

ばあちゃんの声が聞きたくて

電話代わってもらったけど

もうばあちゃんは耳がとおくて

会話にはならなかった

年寄りジョークの

まだ死んでねえぞ!が聞けたから

絶対に、この人より先に死んではいけないと思った

ガキの頃

ばあちゃんに連れて行かれた

怖い山の畑の

眩しい日差しとか

野菜のあおいにおいだとか

私の最初の記憶みたいなのが

あったかい宝物だということ

伝えるつもりは無いけれど

ばあちゃんも

あの日を憶えていてくれたらいいけどな

今の空は白の天井

ガキの頃はこれが木目であって

どこもかしこも顔に見えたもんだ

降り注ぐエアコンの風はぬるく

次第にカサつく手肌を眺めた

いつか切った手のひらの傷は

生命線に並行に寄り添っている

はえらい長生きするかもしれない

心臓がざわついていて

頓服薬を飲んだけれど

曇天のせいかなんか

何もかわらなくて苛立ち

せめてもの白湯を飲もう

唯一の丁寧な暮らしアイテム、鉄瓶で

お湯を沸かした